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YOKU STUDIO的既存のキャリア論の考察 <キャリア・アンカー編>


「YOKU STUDIOの視点で新時代のキャリア観を考える」の第2回です。

前回はキャリアの起源から現在に至るまでの、キャリアにおける価値観の変遷についてお伝えしました。

今回からは代表的なキャリア論を取り上げ、それらをYOKU STUDIO独自の新解釈を加え、展開を試みます。


既存のキャリアコンサルティングを学ばれた方がご覧になられたら、違和感を覚えるかもしれませんが、一つの提案としてご承知おきください。



・YOKU STUDIOからみる「キャリア・アンカー」


自分軸による「内的キャリア」とは、自分の人生や仕事において何に意味を見出すのか、何に生き甲斐を感じるのかといった、自分の内面の部分に重きを置いた職業選択のことです。


ここではエドガー・シャインの「キャリア・アンカー理論」を取り上げ、内的キャリアに位置付けます。

エドガー・シャインは「キャリア・アンカー」という概念を提唱、「組織心理学」という語の生みの親でもあります。日本においては、経営学の分野で高い評価を得てきましたが、社会心理学者として臨床経験があるエドガー・シャインは、元々、内的キャリアを重視した研究者です。


シャインは、「生物学的・社会的(個人の発達・成長)」「家族(家族関係)」「仕事・キャリア(仕事への関わり合い)」の3つのサイクルが相互に影響し合って人は存在しているとした上で、「3つのサイクルとその段階」「キャリア・サイクル」「キャリア・アンカー」「キャリア・サバイバル」を提唱しました。その中で最も有名なキャリア・アンカーに着目します。



・キャリア・アンカーとは


組織心理学の枠組みの中で、組織の中で個人がキャリアを獲得する際、当初シャインは、従業員が組織の価値観に染まっていくという仮説を立てて調査を進めていましたが、思うような結果は得られず、検証の結果、仕事を通じて個人が職務遂行にあたり、何が得意か、仕事をする上で何に重きをおいているのか、どのようなモチベーションが仕事へと搔き立てるのかといった、個人の“セルフイメージ”がキャリアを形成していくと結論付けました。


キャリア・アンカーとは、船を安定させる錨のように、自身のセルフイメージがキャリアの判断基準となり、キャリアの安定になることから名付けられたのです。

そして、シャインが調査した結果、キャリア・アンカーは8つに分類されました。



 

1.管理職・・・総合的な管理職 2.専門能力・職人・・・特定の業界・職種・分野の専門性の追求を目指す 3.自律/独立・・・規則に縛られない、自律的に職務が進められる 4.保障/安定・・・生活の保障、経済的な安定 5.起業家的創造性・・・起業する 6.純粋な挑戦・・・「挑戦」「挑戦し続けること」に価値を置く 7.奉仕/社会献身・・・仕事の上で人の役に立つという感覚 8.生活様式・・・仕事とプライベートとの調和


 


「キャリア・アンカー理論の問題点」


「アンカー(錨)」の言葉の印象から「固定する」イメージが強く、特に日本では経営学の分野で「外的キャリア」の意味合いが強調されがちですが、シャインは“状況に応じてセルフイメージは変わる”としています。例えば、自律的に挑戦し続ける働き方を重視していた人が、何らかの要因で経済的な安定を望むようになる等、この変化する部分をシャインは「内的キャリア」としているのです。


ただ、シャイン自身もキャリア・アンカーは”制約”になるとも言っています。

自分が想定するセルフイメージ通りキャリアを歩んでいる時は、自分のアンカーが羅針盤となり、安心を得ることができますし、逆に人生の岐路(キャリア・サバイバル)に立たされた時は、冷静に、客観的に状況分析が出来れば、自分のアンカーの中から別の選択肢を選ぶこともできます。その場合は、キャリア・アンカーは有益な判断基準となり得ますが、そうでない場合は”錨”に引き戻され、その場に固定され、動けなくなることもあるからです。



以上が「キャリア・アンカー理論」ですが、「キャリア発達は外的環境と自身が相互に影響し合い形成されるもの」としつつも、YOKU STUDIOの視点で見ると「自分のセルフイメージ(自分軸)」が強く感じられ、「自分は〇〇だ」といった制限を作り、それ以上に広げられる可能性を、自ら閉じてしまう印象が否めないのです。


次回は、固定化された環境下や役割(年齢や役職等)や、外的要因の影響による外的キャリア論(他人軸)として、キャリアレインボー理論を紹介します。そしてキャリアレインボーの内実とその問題点を分析します。




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