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伸びやかな自己決定の為のキャリア構築② <ケーススタディ>


「YOKU STUDIOの視点で新時代のキャリア論を考える」の8回です。

前回は、YOKU STUDIOが提案する軽やかなキャリア論について解説しましたが、より具体的に理解を深める為、今回はケーススタディとして、知人の許可を得て、彼女の話を例に挙げて細かく見ていきます。
















・「ピンチはチャンス!」 彼女の視点




彼女は念願叶って希望の職に就き、着実にキャリアを積み重ねてきました。


未経験から始めた仕事も、先輩から指導を受けながら、時にはクライアントにお叱りを受けながら、気付けば10年余り。夢中で取り組み、自分の仕事のスタイルも確立し、後輩を指導する立場にもなりました。


しかし、そんな中でふと「充分やりきった」と感じた時、仕事が生活の中心になっていた事に気付いたそうです。


同時に今の仕事に就いた時、「経験を積んで、いずれは独立する」と夢を思い描いていたことを思い出し、心が揺れ始めました。



50代に差し掛かり、業界的にも今の給料を維持したまま転職するのは厳しいのが現実です。


このまま慣れた仕事を定年まで続けられれば、生活面は安定します。


その一方、新しい事に挑戦するとなれば、気力だけでなく、体力的問題な問題も考慮しなければなりません。


それでも挑戦するのならば、少しでも体力・気力・柔軟性があるうちに挑戦した方がよいのではないか・・・


散々悩み抜いた末、慣れ親しんだ職場と仕事、安定を手放すことを決意し、上司に辞意を告げました。



それからほどなくして、彼女の退職を知った知人から連絡が入り、「せっかくのキャリアを断絶するのはもったいない。いい求人があるから、試しに受けてみないか。応募締め切りは明日までだから、早急に返事が欲しい」と誘われたと言います。


この求人は、業務内容は異なるものの、これまでの経験や知識を活かすことができ、今までのシフト勤務から予定の立てやすい定時勤務になり、しかも給料も今までの額を維持できるという、めったにない好条件でした。


にもかかわらず、この話を聞いた時、「余計なお世話だ!」と思ってしまったと言います。



彼女にしてみればこのチャンスは、出鼻を挫かれたようで、やっとの思いで下した自分の決断を覆す、大きなハプニングでしかなかったのです。


しかも早急に返事をしなければいけないという状況が、怒りとパニックに拍車をかけました。



一般的に、次の仕事を決めずに退職するという決断は無謀と思われます。


それでも退職を推し進めたのは、フルタイムの仕事を継続していては、自分の夢を実現する為の時間を確保することが難しいと思い込み、それならば失業給付を受け、パートを探して自分の時間を確保することが今の自分にとって最善だ、と心底思っていたと同時に、「新しいことにチャレンジする、最後のチャンス」という思い込みが働いたことで、その決断以外にはあり得ないと決め切った結果でした。


ここまで見ても、本人は冷静に全体をみて判断しているつもりでも、1つの物語に囚われてしまっていることが分かります。選択肢が1つしかない為、エネルギーが一局に集中してしまっています。


そこで彼女は、メンターである先輩にそのことを相談します。







・「ピンチはチャンス!」 メンターの視点






事の成り行きを説明し、先輩から返ってきた言葉は「受けてみたら?」でした。


以前から独立について相談していた先輩なら、自分の意思を応援してくれるものと思っていたので、その返答に困惑したものの、先輩から求人内容が今までの条件より良いなら、まずは面接を受けてみて、採用されたらどうするか、その時考えればいいと諭され、その時点では完全に納得したわけではありませんが、頑なさはなくなり、とりあえず翌日エントリーすることに。



それから面接に向け、企業研究や業務内容、求人条件の確認をしている内に、自分が新しい業務や環境に対しての不安にばかり囚われ、その求人条件から期待できる複数の未来(今までの勤務形態より、自分の時間が管理しやすくなる、自分がこれから個人的に勉強していこうとしていたスキルが身に付けられる等)まで見通せなかったことに気付きました。


そして何より、「自分の人生は自分が決める」という一見ポジティブな信念が、彼女の思考を停止させ、転職のデメリットばかり探していたのです。


それに気付いた事で、面接は心穏やかに臨めたそうです。



その後、彼女のもとに採用通知が届きました。


今は副業も許可される時代です。


安定した収入と精神的な安寧を得つつ、新しいキャリアを楽しみながら、独立を目指してもいい。そう思えた時、「このハプニングが絶好のチャンスだった」と感謝できたそうです。







・正しく自己理解をして、より多くの可能性を獲得しよう






前回の記事の繰り返しになりますが、予期せぬ出来事に遭遇した時点で、自分の中に「こんな未来があったら」がたくさんあった方が深刻にならず、エネルギーは分散され、フレキシブルな選択ができます。


もし、準備していた未来の中に適切なものがなければ、専門家でなくても、身近な信頼できる人にアドバイスを仰ぐことで、自分の凝り固まった思考に風穴を開けることができるかもしれません。



キャリアにおいて、自己決定が大切だと言われます。


それが時折、「自分で解決しなければ」と誤って解釈し、自分の内側へエネルギーを向けてしまう場合があります。


「他者の意見を聞くことが他人軸になる」と思っている人はいませんか?


他者の意見を聞くこと=意見を受け入れることではありません。自分ですべて解決すること=自己決定ではありません。



他者に助けを求めることは、決して弱いことではなく、恥じることでもなく、むしろ勇気ある行動です。


他者からのアドバイスを、自分にとって「いいかも?」と思えるのであれば、今後にも活かせる選択肢の一つとして加える。だからといって、必ずしもそれを採択しなくてもいい。


あらゆる可能性や選択肢から、自由に自ら取捨選択することが「自己決定」なのです。



それらを踏まえれば、自分の選択肢も尊重しつつ、他者のアドバイスや、その人から語られる夢に触発されて、「私もこんな未来を描いてみたいな」と思えたら、自分だけに留まらず、他者を巻き込んで、有形無形問わず、何か新たなものを生み出せるかもしれません。なんだか楽しそうじゃありませんか?


従来のキャリアカウンセリングの基礎を押さえつつ、もっと自由で軽やかにキャリアを描いてもらえるようなキャリアカウンセリングの提供を、YOKU STUDIOは目指していきたいと思います。




この「YOKU STUDIOの視点で新時代のキャリア論を考える」、当初5回を予定していましたが、大幅に予定を上回り、今回でやっと一区切りとなりました。


従来のキャリア論とは異なる為、違和感を持たれた方もいらっしゃると思います。


ですが、これも“新たな可能性”として、温かく見て下さったら嬉しく思います。ありがとうございました。




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