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スピリチュアルカウンセリングって本当に必要⁉︎ ⑨【翔哉のひとりごと 第10回】


皆さんこんにちは、スピリチュアルカウンセラーの翔哉です。

前回までは、コミュニケーション的主体におけるラカンの "人の欲望とは他者の欲望である” という論を中心に考えていきました。















その論において語られる他者性を、僕は「亡霊」として定義していましたが、その亡霊的他者とは一体どんな他者なんでしょうか?


厳密な原義におけるラカンの言う他者とは、「大文字の他者」としての国家や社会、言語、家族などのコミュニティを指します。


精神分析的な原理で言うのであれば、かなり荒い定義になってしまうと思うのですが、ラカンの言う他者を、「大文字の他者」ではなく、一個人の他者として考えてみたいと思うのです。


僕の臨床的な経験の中では、そうすることで、他者の定義がもう少し具体的でアクチュアルになると考えています。



そしてその他者とは、スピリチュアルにおける最も重要でユニークな概念としてある、「守護霊」という概念に接近して行きます。


どういうことでしょうか?







・「守護霊」的他者とは?





もう一度整理して行きましょう。


僕は、ラカンの "人間は他者の欲望を欲望している”という考え方は、人の欲望とは完全な個人の意識として成立するものではなく、ある特定の他者の欲望を転移する形で欲望している、ということを指すと思います。


つまり「本当の私」や、自分オリジナルの欲望というものは、実は存在せず、すべて特定の他者から転移したものとして読み替えることは可能であると考えます。


その他者とは一体どんな他者なんでしょうか?私たちは、日常的に触れているどんな人の欲望も転移させ、自らの欲望として、取り込んでいるのでしょうか?



答えから言ってしまえば、全ての人の欲望が転移してるわけではありません。それはある条件の中で個々人の意識の中に立ち上がる他者なのです。その他者とは平たく言ってしまえば、その人が尊敬し、目的にしたり、取り入れたいと思うような対象です。


つまりは、どんな対象でもいいというわけでもなく、その他者は、その人にとってのある種の超越性が必要だと言えます。


神や絶対的な他者ではなく、かといって日常的に話したり、遊んだり、触れられるような対象でもない。そしてこの定義の中で考えられる他者とは、スピリチュアリティの中で言われる「守護霊」という概念に接近して行きます。



スピリチュアルの中で常に現れてくる守護霊という概念、それは流派や地域に関係なく、スピリチュアルのどの分野の中でも形を変え現れてくる概念です(宇宙人、天使、アセンデッドマスター…etc)。


神でもなく、日常的に触れるような他者でもなく、この「守護霊」的存在が、スピリチュアリティにおける想像力の中で重要な位置をしめています。


そしてかなりアクロバティックな読み取りではありますが、ラカンが「他者の欲望」という時の他者は、スピリチュアリティにおける守護霊的存在ということができるのではないでしょうか?


古来、日本のスピリチュアリティにおいて、守護霊とは家系を司る先祖として定義されてきました。そこには、日本固有の祖霊信仰や、神道の思想とスピリチュアリティが混ぜ合わせられた状態での日本固有の守護霊観があったはずです。


そしてこれが、フロイトにおけるエディプスコンプレックスの議論とも、接近して行くのですが… 話が複雑になってしまうのでここで詳細に語ることは別の機会に譲ろうと思います。







・「守護霊」的他者の意義






もう少し、この守護霊的他者について、深掘っていきましょう。


その守護霊的他者というのは、実際に出会ったことがあるorなし、もしくは生きているor亡くなっている、という区分はあまり重要ではありません。


ただ具体的な条件として、その対象が亡くなっていたとしても生きていたとしても、その対象の記号(SNS、書籍、動画…etc)に触れることができる対象であることが、その他者を自らの欲望として転移させる可能性を高めてくれる指標となります



例えば、YOKU STUDIOのnoteを執筆、編集している“中の人”は文学研究者として、ある特定の作家を日々研究しています。


文学研究者は、その研究対象としての対象(作家)が亡くなっているにもかかわらず、日々テキストやインタビューを通して、その像や欲望を表象化していきます。


その時、研究者の意識の中に、その研究対象としての作家の他者性が立ち上がり、その欲望を私の欲望として転移させるというわけです。

このような行程を経て、人は他者の欲望を内面化し自らの欲望として駆動することが可能になるわけです。


これはなにも、文学の作家や、高名な対象でなければいけない、というわけではありません。私たちが生きている人生の中で、尊敬し、自らもそうなりたいと思えるような対象であれば、その対象の社会的地位は関係ありません。


あなた自身がその対象に対してどれだけ想いを寄せ、その対象の生き方や考え方を自らの内に取り入れたいと思うかどうかが、重要になってきます



自らの内に取り込みたいと思えるような他者。その定義の先にある「守護霊」的他者。それは、日本古来の守護霊的定義における「指導霊」に限りなく接近していきます。


「指導霊」とは、その人の仕事、趣味、才能に基づいた複数の守護霊のことを指します。一人の人につく「指導霊」は複数あり、その人の仕事、趣味、才能ごとにつくとされています。


そしてその指導霊は、その人の成長段階に合わせ、頻繁に変わることがあるとされています。指導霊の厳密な定義の中では、各々の過去世の中で亡くなってから百年くらい前の霊魂が指導霊となる、という定義になっています。



しかしこの論考では、ラカンの他者性と、「守護霊」的半超越者の近接点を探っています。少々荒い議論にになることを恐れずに、ラカン的な、他者の欲望の転移における他者と、「守護霊」的半超越者を同じものとみなし、そのような他者から転移する欲望を考えてみたいのです。


前半でも触れたように、私たちの欲望は、完全に外部から切り取られた形としては存在しないはずです。そして他者の介入なしに、自らの頭の中で形成される指向性や欲望は、ある種の規範性として私たちの生きるルールのように働いてしまいます。


だとするならば私たちは、自分たちが望むあり方を他者に見出し、その欲望(他者から転移した形での欲望)を意識の中で現前化することでしか、自らの欲望を駆動させられないはずなのです。


そしてこれは欲望の生成の原理であると同時に、既存の世界線や欲望を解除する上でも大変重要な概念となります。




これまでの論考においては、私たちが世界を、ある種の思い込みや概念によって定義づけ、その分離性のなかで、世界を体験し物語を作っているということを考えてきました。


しかし、そういった概念や思い込みは、その前提となる世界線によって定義されたものに過ぎないとしたらどうでしょうか? そしてその世界線を決定しているものこそ、自らの中で無自覚に形成された、他者からの欲望の転移であるとしたら?


もし仮に今までの論考が、ある一定の欲望形成のルールを定義できているとするのであれば、“今ここ”で私たちが感じている欲望も、自分自身では気づかない他者からの欲望が、知らず知らずのうちに転移していると考えられるはずです。


実際、僕の臨床の経験で言うのであれば、概念や思い込み、分離性をどんなに解除したとしても、大枠としての世界線は似たような形で復活してしまいます。。。。それを完全に近い形で解除するためには、やはりその元となっている他者、つまり「守護霊」的他者を解除しなくてはならないのです。


今までとらわれていた他者と、そこから転移する欲望(それが無自覚だったとしても)は、私たちを強烈なまでに、ある特定の世界線へ押し込めてします。


だとするならば、その既存の世界線から脱却するために、既存の「守護霊」的他者を解除し、新しい世界線を描くための地平を準備した上で、別の「守護霊」的他者を定義し、その世界線へと移行することが、自然な流れと言えるのではないでしょうか?



とはいえ、厳密な定義がそうであったとしても、この記事の読者の方にとっては、専門的なカウンセリングやワークを通してでなければ、既存の「守護霊」的他者性を知り、それを完全に解除するのは難しいかもしれません…しかし、いまあなたが魅了されている他者やその人の世界観を探し、自分の中に取り入れることは一般の方々でもできるでしょう


あなたの新しい世界線を見出す旅において、その守護者となるような他者を見つけてみることを、ぜひおすすめしたいと思います。きっとあなたにも、新しい世界を見せてくれる他者はいるはずです。



と、ここまでラカンにおける他者の欲望の転移と、そこにおける他者性を、スピリチュアル的な解釈の中でアップデートしてきました。


今回の記事における他者とは、自らの欲望を作るために、自己内で必要とされる他者でした。しかし、自己内における半超越的他者のみでは、“欲、生きる”というスローガンを達成することはできません。


次回、第二の他者としての物理的他者とのコミュニケーション、そしてそのようなコミュニケーションが導く、新たな可能性としての世界線との関係性を考えていきます。

次回もお楽しみに!!!!!






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