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「欲、生きる」は、自分勝手に生きることじゃない。
YOKU STUDIOの理念は「欲、生きる」。
それが、現代社会においてとても重視される、「良く生きる」ことへの挑戦であることは、以前の記事で触れました。
私たちが重視しているのは、外部的な「良く生きる」ための規範ではなく、一人ひとりが持っている本来的な「欲」に基づいて、人生をDIYしていくことなんです。
ただ、一般的に「欲」という言葉には、俗っぽい願望や、自分勝手な気持ちなど、ネガティブなイメージが付きまといますよね。
だから、「欲、生きる」ことを目標になんてしたら、他人を考えずに自分勝手に行動する人がどんどん増えて、社会の状態が悪くなってしまうんじゃないか…と、感じる方もいると思います。
けれど私たちは「欲」を、他者や周囲の環境との相互関係のなかで、自分の人生を創造していく上でのモチベーションになる、大切なものだと考えています。
「欲」を人生の指針にするということは、自分自身が持っているエネルギーを最大限に、できるだけ純粋な形で、毎日の生活のなかに生かしていくこと。
「欲、生きる」というのは、決して、「自分勝手に生きよう!」というスローガンではないんです。
そこで今回は、私たちが考える「欲」の意味について、お話ししていこうと思います。
・「欲」は消すべきもの?
昔からスピリチュアルの世界では、「欲」というものは悪であり、それを消し去ることが重要なのだ!という考えが主流でした。
「欲」というのは、人間の肉体に結びついたものであって、高次元の精神世界に近づいていく上では邪魔になる。
だから三次元の世界を生きる人間にとっては、「欲」を捨て去ることが、「悟り」(あるいは「目覚め」「アセンション」)の状態にいたるための方法だと考えられたわけです。
けれど、東洋・西洋問わず、多くの宗教思想や神秘主義思想に共通するこのような考えは、スピリチュアルの世界と、私たちが生きている日常との断絶を生んでしまいがち…
なぜなら、私たちは、まったく「欲」がない状態では、この世界で生きていくことができないからです。
無欲な状態というのは、自分の内面の葛藤や世の中の動きから距離をとり、それを達観できる、静かで安定した状態。それを理想だと言うことは簡単です。
でもそれは、私たちの自発的な行動にはつながりませんし、この世界を生き抜くための活力にはなりませんよね。
・「ネットで紹介されていたあのレストランに行ってみたい!」 ・「職場で教えてもらった映画、気になるから観てみようかな」 ・「休みになったら旅行に行きたいから仕事頑張ろう!」 ・「いつか憧れのあの人に会いたい!」 ・「好きな人に喜んでもらいたいから料理を勉強してみよう」
…私たちをワクワクさせ、モチベーションを高め、実際の行動のきっかけとなるものは、実はいつも、「〜〜してみたい!」という、自分の内面から湧き上がる「欲」なんです。
そもそも「欲」というのは、この世界を生きる人間にとって不可欠なエネルギー。
決して邪魔なものではないはずなんです。
・「自分勝手」な人は「欲」を勘違いしている
たしかに「欲」というものが、自分にとっての苦しみになったり、周囲にとっての迷惑につながってしまっているように見えるケースはあります。
「欲」が、「自分勝手」な生き方の原因になっているように感じられるケースです。
(たとえば、「ダメだと分かっているのにお酒を飲みすぎて、結局体調を崩して会社を休んでしまった…」とか、「好きな相手に会いたい気持ちがとまらなくて、しつこくして嫌な思いをさせてしまった…」とか)
そのような人は、多くの場合、「欲に振り回されている」良くない状態にあるから、「欲」を消し去るべきだ、とジャッジされるのではないかと思います。
しかしYOKU STUDIOでは、こう考えます。
そのような人は「欲を勘違いしている」状態だから、その「本来の欲」のかたちに気づくべきなんだ、と。
どういうことでしょうか?
「〜〜したい!」という思いとしての「欲」というのは、ほんとうはとても流動的なもの。
関わり合う相手や、外部の環境と連動しながら、その時々に応じて、直感的に湧いてくるものではないかと思います。
しかもその「欲」は、たったひとつではなく、複数存在するのがふつうです。
・美味しいご飯を食べたい、という「欲」 ・恋人とデートしたい、という「欲」 ・資格取得のための勉強がしたい、という「欲」 ・週末にライブに行きたい、という「欲」 ・シュノーケリングに挑戦したい、という「欲」
…そのどれもが共存可能ですし、状況に応じて、絡み合いながら変化していくものです。
つまり、「欲」というのは、この世界で生きる自分自身に開かれている可能性の数だけ、たくさん存在するはずなんです。
けれどそれが、強い思い込みや価値判断に紐づいて、絶対的な、唯一のものとして固定化してしまうと。
私たちはその「欲」を、自分や相手、周囲の状況とは無関係に存在すると勘違いして、そこに執着しがち。
だから「欲」が、自分にとっても相手にとっても、ストレスになるものへと変貌してしまうのではないでしょうか?
先ほどの例で言えば、「お酒を飲みたい!」とか「好きな人に会いたい!」という「欲」を、唯一絶対の原動力のように勘違いし、そこに過度に執着してしまうから、自分や相手、周囲の状況を無視した、極端な行動に突き進んでしまうのではないかと思うのです。
・「欲、生きる」ために「欲」を知ろう
YOKU STUDIOが目指す「欲、生きる」というのは、流動的で、複数的なものとしての「欲」をうまく活用し、この世界を軽やかに生き抜いていくエネルギーにしていくことです。
この意味で、「欲、生きる」というには、自分勝手に生きることとは、実は正反対。
自分勝手な生き方というのは、「欲」を固定化し、単一化し、そこに執着することで、自分も他者も苦しめてしまう生き方だからです。
「欲、生きる」ために大切なのは、自分自身の内部に湧き上がるたくさんの「欲」=エネルギーを知り、上手に運用すること。
「いまここ」の自分が持つ様々な「欲」への感度を高め、その「欲」を把握した上で、それを無理なく(ここが重要です!)、毎日の生活のなかに取り入れていくことなんです。
たとえば、「好きな人に会いたい!」という「欲」があったとして、その相手がとても忙しいとします。
「会いたい」という「欲」にだけフォーカスしてしまうと、ずっと苦しい思いを抱きながら、相手を待ち続けることになってしまいます。
それは結局、相手への執着を生んでしまい、自分も相手も苦しめてしまう結果に…。
しかし、一度ゆっくり呼吸して、気持ちに余裕をもって「いまここ」の世界と関わり、自分の内面を観察してみれば、それ以外の様々な「欲」にも気づくことができると思うんです。
(ここで、心からリラックスして「いまここ」の視点に立ちかえるために、とても役立つ方法が、「手放し」です!
手放しの意味や、実際のワークについての解説は、noteマガジン「手放しって?」をご覧ください!)
そうして、ゆっくり友達と話したり、動画を観たり、雑誌のページをめくったりしているうちに、「新しい服を見つけにショッピングに行きたい」という「欲」も、自分のなかに存在することに気づくかもしれません。
すると、「会いたい」という「欲」のエネルギーを、いったん、「ショッピングに行きたい」の方に向けかえて行動に移してみる、という選択肢が生まれますよね。
このように、自分のなかに湧き上がる複数の「欲」に気づき、それを生活の中に無理なく落とし込んでいけば。
毎日のモチベーションを高く保ちながら、「相手に会えない」といった、どうしようもない環境的な制限から受けるストレスを、かなり減らすことができるはずです。
そうすれば、相手の忙しさがひと段落した時に、それまで別のことに向けかえられていた「会いたい」という「欲」のエネルギーを、(自他のストレス源になるような執着としてではなくて)、純粋な、ピカピカに磨かれた形で、表現していくことができるのではないでしょうか?
「欲、生きる」とは、一般的に消し去るべきものだと思われがちな「欲」を、毎日の行動の指針にしていくことです。
ただそれは、固定化した「欲」に執着し、自分勝手に生きることを勧めるものではありません。
私たちは、周囲との関わり合いのなかで、流動的に、しかもたくさん自分のなかに湧き上がってくる「欲」を丁寧に把握し、人生を楽しく歩むためのエネルギーとして、上手に活用することを目指しています。
人間の「欲」は、ほんとうは、自他を苦しめるストレス源ではなく、毎日を輝かせてくれるエネルギーの結晶になり得るポテンシャルを持っているのではないかな、と思います!